すべてにおいて高得点をたたき出したゲーム～まいてつ Last Run!!　レビュー～

ゲーム概要
あらすじ
評価（1~2とても悪い・3~4悪い・5~6普通・7~8良い・9~10とても良い）
感想（ゲーム全体について）
感想（ルート別）
　最後に

ゲーム概要

まいてつ Last Run!!（Lose・2020年発売）

脚本：進行豹

原画：cura

プレイ時間：40~50時間

価格：まいてつ全部入り　13,037円

【DLsite限定特典付き】まいてつ Last Run!! 進化するコンプリートパック

　　：通常版　4,400円

まいてつ Last Run!!

あらすじ

蒸気機関車8620を制御する専用レイルロオドであるハチロクは、大廃線に伴って長い眠りについていた。
ほんの偶然から彼女を目覚めさせた、鉄道事故被害者である青年・右田双鉄は、ハチロク、義妹で絵描きの日々姫、市長で社長のポーレットらと、それぞれの目的のため、行方不明になっている8620の捜索を開始する。
（公式サイトより）

lose.jp

評価（1~2とても悪い・3~4悪い・5~6普通・7~8良い・9~10とても良い）

原画・CG：10

シナリオ：8

BGM ：8

音声　：9

システム：10

総合評価：9

感想（ゲーム全体について）

　今も根強い人気がある「まいてつ」の続編「まいてつ Last Run!!」

　まずこのゲームを買うべきかどうかだが、買えばこれからの人生を豊かにすることは間違いないだろう。

　本作は、前作の世界観を壊すことなく、むしろ前作を超えるような仕上がりとなっている。専門的な用語が多く最初は理解するのが大変だと思うが、そのような専門用語が出てきたときには逐一確認できる機能がついているので、鉄道マニアでない人でも安心してプレイできるゲームとなっている。

　基本的にAfterは新キャラ＋メインキャラ+双鉄の絡みとなるが、新キャラが非常に魅力的で、新キャラをメインにした続編をつくってほしいくらいのクオリティとなっている。また、抜きもシナリオも充実しているので、「抜きゲーが欲しい」「いやいや抜きはおまけでシナリオを楽しみたい」という人どちらにもお勧めできる作品だ。

　また、このゲーム一本で前作の「まいてつ」もプレイできるので、前作を持っていない人はこれ1本買うだけでいいという良心的なつくりとなっている。

　キャラクターCG

　正直言ってこれを超える作品はあるのかというレベルでほかのゲームより頭一つ分飛び出ている。なんたって絵が動く。抜きシーンでもちゃんと行為の内容通りに動いてくれる。アニメとゲームのいいとこどりみたいな感じ。一度これを経験してしまったらほかのゲームがお粗末に見えてしまうこともあるので注意が必要だ。

今日のオカズは何にしよう、「まいてつ」にしようかなとなるレベル。ヤバイ。

　BGM

　あまり印象に残るBGMはないものの、ボーカル曲をキャラクターごとにアレンジしてBGMとして使用する手法がかなり用いられている。また、キャラクターの性格やバックグラウンドをイメージさせるアレンジとなっているので、単純にキャラごとのアレンジを聴き比べるだけでも楽しめる。BGMとしても1つの曲としても楽しめるのは素直にすごいと感じる。

　シナリオ

　鉄道だけでなく、人間関係や経営的視点、レイルロオドの仕組みなど様々なもの要素を含めたものとなっているので学べることも多い。しかし舞台は御一夜市（熊本県人吉市）という現実的な設定なのに、経営の面でいえば明らかに実現不可能な企画を通すのは悪い意味で中途半端だと感じた。その一方で市の観光業を再興させるためにはどうしたらいいかや、若者の雇用など実際に現実で起きている問題に対してプレイヤーに警鐘をならす姿勢は素晴らしいと感じた。オリヴィルートは神。

　音声

　新キャラクターの演技は素晴らしいのはもちろんのこと、鉄道がメインテーマの作品だけあって汽笛や機関車に乗っているときの音などへのこだわりが感じられる。

ただ、れいなの声が無印時代には自然な感じで出ていたのに今作では頑張って出している感があって少し中の人の衰えというメタ的なところを意識してしまうのは残念だった。

　システム

　バックログから指定シーンに戻れるのはもちろんのこと、各ルートの中でも細かく話が区切られていて、自分が読みたいところからすぐ読めるのは素晴らしいと感じた。また、立ち絵を自分で好きなように作れたり、自分の好きなセリフをブックマークして後で聞き返せるのも素晴らしい。システムに関していえば悪い点は1つもなかったように感じる。

～～～～～～～～～～～ネタバレ注意～～～～～～～～～～～～～

感想（ルート別）

　ハチロクルートAfter

　とにかく泣ける。最初は宗方機関士ひどいなぁと思っていたが、むしろ宗方機関士は最高にやさしい人だった。オリヴィのちょっと高飛車だけどみかん鉄道を愛し、鉄道の仕事に誰よりも真摯に向き合う性格が存分に書き出されたストーリーとなっていた。逆にオリヴィがこなければ御一夜鉄道はどうするつもりだったのだろうかと思ってしまうくらいオリヴィが御一夜鉄道に与えた影響は大きい。ちなみにオリヴィの元となっているⅨ号機関車は明治村に動態保存されている。ぜひこれを機に乗りに行ってあげてほしい。

　日々姫ルート

　日々姫が市長になってからのルート。ここで出てくる文庫森の扇形機関庫は大分県玖珠郡玖珠町の旧豊後森扇形機関庫だろう。市長とデザイナーを兼業する日々姫の苦労がうかがえるルートとなっている。真闇姉に認められようと必死にやってきた日々姫が最後に真闇姉に認められるシーンはまるでわが子の努力が報われたかのような嬉しく優しい気持ちになった。ここで出てくるみくろは本当にいい子でこの世の善をかき集めて作ったかのようなキャラとなっている。ハチロクの8620とみくろの38696が客車をけん引しているところが見たかった、、、Loseさん、次の続編はこれでよろしくお願いします。

　ポーレットルート

　ポーレットと双鉄の間に子供ができ、子育てを通して子供だけでなく自分たちも成長していくルート。人見知りのひかりにお姉ちゃんとして優しく導くれいな。けどそんなれいながひかりにやきもちをやくシーンはとてかわいい。ただ双鉄とポーレットが少し過保護すぎる気もした。とくに仲居さんがひかりのにこけしを鳴らして泣かしてしまうシーン。あそこまで怒る必要あったかと感じてしまう。仲居さんがかわいそうで仕方なかった。

　あと行商のおばあさんがくれた岩城りんごは本当においしそうだった。またいつか食べてみたい。

　ニイロクルート

　ニイロクが包帯ぐるぐるになったわけがわかるルート。ぐるぐるになる前のニイロクちゃんかわいすぎ。だからこそ整備体を失ってしまった時の悲しみが大きかった。シロお姉ちゃんとその機関士が本当にかっこいい。できればシロお姉ちゃんも立ち絵くらいは欲しかった。

　グランドルート

　みんなと協力して寝台列車ナインスターズを完成させるルート。オリヴィもニイロクもみくろもみんなが報われるルート。この世界線でさらに続編をつくらないか？つくらなければ〇す（猗窩座）

　仲国ルート

　仲国ルートに関していえばこれは完全に中国市場開拓と蓄音レヱルの宣伝のためだろう。個人的にはオリヴィの故郷である瞑国や蒸気機関車発祥の地である詠国、日ノ本と同じく産業革命で成り上がった髑国などを取り上げてほしかった。とはいえ蒸気機関車にLEDを取り付けるなど仲国的な考え方を知れたのは面白かった。あと十九号がかわいかった。ちょっと嘛を多用しすぎな気もしたから高圧的に見えてしまうかな。